ヴァンゲルダ~の呪縛
といっても彼に責任があるわけではないのだが、
ない世界を現実のものにしようと際限のない努力を続ける人が少なからずいる。
先日、菅野沖彦氏がNHKで二人のレコ~ディングエンジニアの話をしていた。
一人はラインの黄金のジョン・カル~ショ~。
もう一人はヴァン・ゲルダ~。
ヴァンゲルダ~は現在のマルチマイク録音のさきがけで、
ミキシングでジャジ~なサウンドを作り出したという。
それで納得。
彼の録音ではないかもしれないが、
ミキシングによると思われるノイズが遠くの音像に混じっていたのを聴いて、
何でこんなことをしてるのかなと思ったことがある。
ジャジ~なサウンドのため多くのマイクとミキサ~を駆使して録音するのが定番になっていたようだ。
そのため、当時の機材を使用して最良と思われるサウンドに作っていたということで、
さらに、それぞれの録音技師の判断でサウンドが決定されることになる。
もちろんその場合、でかいスタジオモニタ~だけでなく、
小さなサブモニタ~で家庭用に照準を合わせて音づくりがなされるのは今も以前も同じことだ。
この場合意図してJazzyなサウンドを求めるということは現実の音ではなく、
聴感上理想の音、いわばイメ~ジサウンドでまとめることになる。
もちろんジャズに限らず他のジャンルでも同様なのだが、
ヴァンゲルダ~の天才的音作りが際立つあまり、
それを何とか理想的に再現しようとする努力は特異なものになりかねない。
録音技師の天才的なイメ~ジの音でまとめられたサウンドはひとつのテイクについて、
あるいはその共通のシリ~ズでは理想的な再現も可能かもしれないが、
他の編成、あるいは他の録音技師の音では大きく異なってくることだろう。
ゲルダ~は極端な言い方だが不自然にまとめ上げることによってより圧倒的なJazzyなSoundを作り上げたといえるのではなかろうか。
当時の機材にはとても多くの擾乱雑音(普通に言う雑音ではない)が含まれている。
その雑音をJazzyな音色に利用していたのである。
擾乱雑音が多ければ平面的ではあるけれどパワ~をあげれば前に張り出して聞こえる。
立体感を出そうとすれば擾乱雑音はジャマになり、取れば奥行きがでてくる。
これはとりもなおさず一見(一聴)引っ込んで聞こえてくる。
シンバルが、バスが、ドラムがもっと生々しく聞こえるようにと追いかけ続けていっても、
全部が前に出そろえばそれは平面的ということだ。
その音だけを再生しようとしていたわけではないであろうから、
大きくバランスを崩すことになりかねない。
まあしかし、天才ピカソの絵を前にして立体感が、、、などと言っても意味がない。
ゲルダ~は当然、当時の機材から出る音で音作りをしていたであろうから、
当時の機材を当時のようにメンテナンスして再現するのがいちばんの近道かもしれない。
しかし、アコ~スティックな自然さを求めていた過去の収録やミキシングに、
そしてこれからの収録には低擾乱の新しい機材は存在意義がある。
逆にJazzyなサウンドはイメ~ジの中の音でそれを楽しむのはよいのだが、
呪縛に憑かれると際限のない無いものねだりになりかねない。
ヴァンゲルダ~のミキサ~ル~ムを再現してお聴きになればよろしいですね~~
たぶんそうできる人もいるかもしれない。うらやましいですね。
そんなことを感じているときに絶好の放送であった。
熱い音は熱い音に出す機材はそれなりにある。
(高熱かもしれない)
普通に熱い音でよい。
それに加えて冷たい水の音が冷たい水に聞こえる音を出したい。
それでつまらなく聞こえるなら、演奏か自分がつまらないのだろう。
竹林を渡る音。(無粋だけれど、吹くではない)
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